挨 拶
枕崎水産加工業協同組合理事組合長
西村 協
「鰹節製法伝来
300年事業によせて」
鰹節製法伝来300年事業につきまして、枕崎水産加工業協同組合員はじめ、「鹿児島県」「枕崎市」「日本鰹節協会」等、関係各機関の皆様に多大なるご支援とご協力を仰ぎ、本式典開催を迎えることとなり、心より感謝申し上げるとともに、今後とも枕崎の鰹節を末永くご愛顧賜りたいと願います。
歴史を振り返れば300年前の江戸時代中期は、各地の特産物が主に大阪に集中し、文化や経済といったものが非常に活発になった時代とされています。同じころ、宝永4年の大地震により壊滅的打撃を受けた紀州印南浦の秘法厳守とされる鰹節製法が、森弥兵衛により枕崎へ伝承され、先人達の創始工夫と努力により連綿として伝えられた「鰹節」を生業としていることを誇りに思います。
日本列島の最南端に位置する当地で、流通網・情報網が未発達であった頃より、漁労・製造・販売・流通に尽力し、それこそ野を越え、山を越え「鰹節」を全国に出荷し、新しい技術を持ち帰り、今日の枕崎の礎を築いてこられた先人の知恵と努力に感嘆するとともに、今は無き先人の御霊に感謝し哀悼の念を奉じます。
世界的に見ると人口増加や環境問題により天然資源の保護が声高に叫ばれ原料確保の先行きが混沌とした状況になっております。国内では少子高齢化や長引くデフレ現象により製品販売の先行きも混沌とした状況になっております。
しかし.「鰹節」は高栄養で機能性も高く、ダシの基本となるうまみ成分を多く含んだ有能な食材であり、これまでも幾多の困難を乗り越えて引き継がれた、日本の伝統食材であることは疑う余地のないものと確信します。
前述の通り古には漁労から流通までを一体として行っていたように思います。現在は事業規模が大きくなりそれぞれ分業しておりますが、今後は情報交換・交流をより一層進め、日本漁業、日本の水産業の発展に「鰹節」が一翼を担うようになればと思います。
先人の遺した技術に研錆を重ね、進取の気概を常に持ち、安心・安全・健全な「枕崎鰹節」を造り続けていくことが、「鰹節」に関連する方々の明るい未来を約束するものであり、これからの10年20年に精一杯精進し、後の300年に繋げていきたいと強く念じております。